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[本]夜と霧~強制収容所の内側
 夜と霧 新版 | Excite エキサイト ブックス > 書籍情報読み終わりました。
 以前に、同著者の本、「それでも人生にイエスと言う」を読んでますので、その萌芽が伺える作品でしたが、ちょっと短い感じがしました。
 でも、その内容は大きく、これから彼が書く本の原動となったのは、まったくこの体験(強制収容所で生きながらえるという体験)に他ならないと思います。
 強制収容所の、悲惨な生活が告白されているのは、この本以外にもあるのです。でも、その心理的状況を描きつつ、非人間的な扱いのゆえに-人間たる根源的な何かを問おうとすること、人間の尊厳の重要性を考えることをした本は少ないでしょう。この本はその本の1つだと思います。
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 収容者にも被収容者にも、<良い人>と<邪悪な人>はいた。生きるために、犠牲が必要という最悪の環境。そして、この環境を作り出したナチス。そのナチスの人でも善者がいたという。(彼は後に収容者から守られている。)
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 そして、著者はその後の著書で言う・「人生を問うのではなく、人生に問われている」と。
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 人生に問われている我々だから、自分の未来は問われているのであって、決定できない。それは、予測不能だからこそ、未来に人を信じる世界なのではないだろうか。
 いじめ、自殺、ニート、過剰報道、子殺し・・・信じられない世界に必要なものは、政治家や官僚が示す数値目標ではないと思う。こういった、人類の間違った遺産を元に、数値に出来ない~弱者の尊厳的価値を認めることなのではないかと思うようになりました。
by mifjpn | 2006-10-30 21:17 |
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